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琴理 貴方と過ごした 星の見えるこの部屋で 刻まれた傷痕をナイフでなぞり 紅を零す 引き裂かれる痛みを知り 狂った行為が幸せだったと 今は切られることもないんだと それさえも悲しくて 貴方の狂気を求めて さまよう 溢れる涙が傷に染み 切なさに砕かれる心 「抱きしめたなら、刻むのなら、離さないでよ。」 私の声は 貴方にはもう届かない 辛いときだけ抱いて 寂しいときだけキスをして 私はそんな人形でいいから 貴方のそばにいたかった 他に女がいても 貴方の涙を拭いたかった 刻まれた傷が消えぬように 切られた痛みを忘れぬように また傷痕をなぞり 切り刻んでゆく 私の心
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