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「先日、彼女にふられちゃいまして、持っていても未練が残るだけですし、どうせならフリマに出そうかなと」
取り敢えず、詭弁を並べてみる。
「勿体無いわね、古着屋に出せば此処より高く買い取って貰えるのに、それにしても服の趣味が良子を逃がしたのね?」
「ですね、ははは」
一刻も早く売上金を手に公園を立ち去らなければ、販売者と購買者でごった返してしまうし、
本物が戻って来るのも時間の問題だ。
何でも良い。此処を立ち去る理由を見つけないと――。
「ねぇ、新入りさん」
女性販売者が訊ねて来た。鋭い視線を此方に向けている。気付かれたか――。
「は、はい」
「最近、フリマ泥棒が多発しているらしいけど」
女性販売者は勘が鋭いな。僕がそのフリマ泥棒である事を嗅ぎ付けたようだ――。
「貴男もフリマ泥棒に遭わないように気を付けるのよ」
「――――」
口から内臓が飛び出してくるかと思いきや、まさかの一言に全身の力がヒュウと抜けた。
「ご、ご忠告ありがとうございます」
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