第1章

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 女性販売者と話している内に公園は人でごった返して来た。 女性率の高い販売者達は、自分の持ち場で購買者を呼び込んだりしている。 購買者は、それぞれ品定めと言うかウィンドウショッピングに洒落込んでいると言った所か、 僕の店には、まだ客が来ていない、今ならコッソリ店を抜け出すチャンスかも知れない。 売上金の箱に手を伸ばし、ゆっくり抜き出して、この場を立ち去ろうとした時だった――。  「ねぇ、お兄さん」  背後から聞こえた女性の声にぎくりとして、一瞬体が硬直した。  「はい」  「これ、お幾ら?」  振り返ると、本物が並べた服を手にした女性客が僕を見ている。 涼風を彷彿させる淡い水色の生地に白の緩やかなラインの入ったワンピースをご所望のようだ、夏にぴったりの購買センス。 保存状態も良いので見劣りはしないだろうが、 ふむ、体型的には水色のワンピースより、寧ろ高貴な印象の中にも涼を残した白のノースリーブスが似合うかもしれない。 そう思い、  「お客さんには此方の白が似合うと思いますよ」 とアドヴァイスしてしまう。
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