第1章

7/9
前へ
/9ページ
次へ
 「詳しいのね」  「いえ、どうされます? ノースリーブスの白をメインに押し出すか、他の色彩を引き立たせるか、一般的には赤のイメージがありますが、夏向けのカラーではありませんが……」  色彩をワンパターンで統一してしまうのもナンセンスだし、かと言って散りばめ過ぎたのでは纏まりが無い。 カーディガンを羽織ったとしても脱いだりする訳だから、ノースリーブスがメインになるのだが……。 厭々、僕は一体何をやっているんだ、一刻も早くここを出たいのに、何故、ファッションのアドヴァイスなぞ、  「どの色が似合いそう?」  「そうですね、此方のやや薄めの緑のカーディガンなら、ノースリーブスに合うかと」  「本当? 買っちゃおうかしら? お幾らするの?」  白のノースリーブスが200円、薄い緑のカーディガンが300円か……。 値段を女性客に教えると、500円玉を手渡された。  「有り難うございます」  此で一難は免れたと安堵したのも束の間、僕が服のコーディネートまでしてくれると言う口コミが公園に広がり、購買者が店に殺到し始めた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加