1章:狼、出会いました。

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成る程、どうやら犬が入り込んでいたらしい。その割には汚れていないけれど。そして、電気は多分、ただの消し忘れ。 玄関の花は…長持ちする種類だった…くらいしか考えられないけれど。家中を探したけれど、誰もいなかったし。 一応鍵を変えておくくらいはしておこう。 そう決めた祐介は、強張っていた身体の力を抜いた。 なんだかドッと疲れを感じる。 (……も、寝るか…。) そう思って、フラフラとソファへ寝転がる。 二階にある自身の部屋にはベッドもあるのだが、クリーニングに出しているとはいえ、一度干してからにしたい。 今日はもう遅いし、此処で別に問題無いだろう。 祐介はタオルケットをかぶり、すぐさま眠りについたのだった。 真夜中。 (……ん、な…んだ…?) 祐介は自身の身体へ与えられている不可解な感触に目を覚ました。 ザラリとした、何かが首の辺りを這うような感触。 祐介の足の付け根を温かい何かが撫で回す感触。 それはゾクゾクとした快感となって、祐介を襲う。 「……っ!」 ビクリと飛び上がると、ふと、祐介の唇に柔らかく湿ったものが当てられた。 (何…?キス…されてる…!?) そう理解した時には、既に口内を侵されていて。動き回る舌に、力の入らない身体。 抵抗しようにも、何故か出来ない。身体が言うことを聞かない。 「あっ…、ん…やめっ……」 思わず、声を上げてしまう。 ただでさえ、唾液の混ざり合う音が耳について羞恥を煽っているというのに、こんな女みたいな声を上げてしまうなんて。 その事が堪らなく恥ずかしくて顔を真っ赤にしていると、その原因を作った人物が、ゆっくりと顔を起こした。
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