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成る程、どうやら犬が入り込んでいたらしい。その割には汚れていないけれど。そして、電気は多分、ただの消し忘れ。
玄関の花は…長持ちする種類だった…くらいしか考えられないけれど。家中を探したけれど、誰もいなかったし。
一応鍵を変えておくくらいはしておこう。
そう決めた祐介は、強張っていた身体の力を抜いた。
なんだかドッと疲れを感じる。
(……も、寝るか…。)
そう思って、フラフラとソファへ寝転がる。
二階にある自身の部屋にはベッドもあるのだが、クリーニングに出しているとはいえ、一度干してからにしたい。
今日はもう遅いし、此処で別に問題無いだろう。
祐介はタオルケットをかぶり、すぐさま眠りについたのだった。
真夜中。
(……ん、な…んだ…?)
祐介は自身の身体へ与えられている不可解な感触に目を覚ました。
ザラリとした、何かが首の辺りを這うような感触。
祐介の足の付け根を温かい何かが撫で回す感触。
それはゾクゾクとした快感となって、祐介を襲う。
「……っ!」
ビクリと飛び上がると、ふと、祐介の唇に柔らかく湿ったものが当てられた。
(何…?キス…されてる…!?)
そう理解した時には、既に口内を侵されていて。動き回る舌に、力の入らない身体。
抵抗しようにも、何故か出来ない。身体が言うことを聞かない。
「あっ…、ん…やめっ……」
思わず、声を上げてしまう。
ただでさえ、唾液の混ざり合う音が耳について羞恥を煽っているというのに、こんな女みたいな声を上げてしまうなんて。
その事が堪らなく恥ずかしくて顔を真っ赤にしていると、その原因を作った人物が、ゆっくりと顔を起こした。
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