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今日の俺の運勢は、最悪と言っても過言では無いだろう。
上京して早三年。
自分なりに一生懸命コツコツとやってきたはずだった。
しかし、人生とは、時に何をやっても上手く行かない事もある。
その日、俺こと【眞田 祐介】は、パチパチと音を立てて赤く燃える炎を見ながら、そんな事を学んだのだった。
朝。
今日は大事な商談があるというのに、何故か目覚まし時計がぶっ壊れ、遅刻ギリギリのところで起床。
急いで支度をして出掛けるも、鍵が何故か見当たらない。
仕方なく合鍵を引っ張り出して走り出すと傘も持っていないのに急に雨が降り出し風も吹く。
取り敢えず電話を掛けようと携帯を取り出すも何故か電源が入らない。
更に道端にお爺さんが倒れ込んでいたので仕方なく手を貸すと一緒になって水たまりへとダイブ。病院の前に連れて行き、急いで電車に乗ろうと駅に行くが財布が見当たらない。やっとスリだと気が付いた時にはもう遅い。
なんとか取引先に辿り着くも、大事な商談は終わった後。
上司に散々怒られて深夜まで残業。
トボトボと帰宅するも、いつの間にか通勤路が工事中で遠回り。更に車に泥水を跳ねられ、いつの間にか電源が入った携帯からクビを宣言される。
そして終いには家が燃えていた。
「……田舎に、帰ろう。」
祐介は燃えている自身の家を見ながら、何もかもを諦めた。
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