第三章

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side伊賀邦仁 感謝してます なんてまっすぐな言葉をもらったのはいつぶりだろう。 自慢じゃないけどこの容姿のおかげでむかしからいろんな人が寄ってきた。 本当の自分を見てくれない、見た目だけをみてる、なんて甘えたことは言わない それでもまっすぐに謝ったり、まっすぐに感謝したり、 邪な思いを切り捨てて俺に話しかける人なんて滅多にいなかった。 それを簡単に成し遂げてくれる目の前の後輩に胸が痛かった。 守ろうと思ったのに、 いや、違う エゴって分かってる。 ただあいつらに渡したくなくて、汚されたくなくて、 閉じ込めたかった そんなのは結局無理で、あんな大勢の前に晒して、これからどうなるかなんて簡単に想像できる。 なにをするにも億劫そうで、単純そうなのに実態が掴めないこの後輩を、せめてこれから起こるであろう制裁からは守りたい 俺が初めて心から欲しいと思った人だから
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