第三章

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「山内、ボール回してー」 なんとか敵チームからボールを奪った山内に呼びかける。 「は!?桐生運動できんの!?」 「できなかったらいま残ってないでしょ」 訝しむように山内がボールを渡してくれた。 「さぁて、いっくよー」 敵チームが一気に気を緩ませたのがわかった。 「次郎だから大丈夫だよ」 なんて善ちゃんも呼びかけてる。 すんげー失礼 「えい」 軽い呼びかけとともにボールを投げた。 「うわっ!?」 「ぎゃっ」 視界から二人一気に消える。 よしよし、まずまずだぞー 「は?え?桐生、え?」 山内が目をまんまるくさせていた。 いや、山内だけじゃなくてクラス全体が目をまんまるくさせている。 「なにいまの、くっそはえー…」 「桐生くんかっこいい…」 「痛そう…」 また回ってきたボールをかるく地面につきながら構える。 「えーいっ」 俺わりとコントロール能力?というか運動神経は良いんだよね 「うぎゃ、」 「うぉ」 また二人なぎ倒す 「よしよし、その調子だ桐生!!!俺の目に狂いはなかった!!!!」 叫び出す山内をジトーっと見つめた。さっきまで散々疑ってたじゃんか。 あぁ、でも 「ごめん山内、俺もう無理だわ」 同じように投げたが、そのボールはさっきまでの2球とはちがい、 「…は?」 ヘロヘロ~っと相手チームのコート内に落ちた。 そう、何を隠そう 「俺体力ないんだよね」 「「「嘘だろーーー!!!?!!?」」」 俺のチームが総勢で叫んだ。
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