第三章

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クラスメイトは次郎のことは受け入れ始めたものの、なぜかまだ和樹を受け入れがたい空気を作っている。 だから次郎と和樹との会話に口をはさむものなんていない。 それは善も例外ではない 「俺、意地悪してた?」 和樹の表情がほんとに悲観的だったことが心中に引っかかり、近くに寄ってきた善に泣きそうな顔で問いかけた。 「次郎は正しかったと思う。でもあの猿はずっとあの考え方だからみんな諦めてるんだよ」 すこしシュンとしている次郎の頭をぽんぽんと撫でながら善はすこしだけ、割って入らなかったことに後悔した。 生徒会親衛隊が何度も呼び出して、何度も次郎がさっき言ったことを繰り返した。 それでも純粋に友達に会いにいけないなんておかしい、と思っている和樹に通ずるはずもなく、いまのように逃げられておしまいなのだ。 次郎はまだいい、 生徒会親衛隊の場合、尊敬し、大切な存在である生徒会じきじきに「和樹をいじめるな」などと責められる。 好きな人に責められる辛さは和樹への反感を募らせた。 (次郎、意外にあの猿のこと気に入ってるのか) 珍しく肩をおとしてしょげている次郎をみながら善は複雑だった。
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