第三章

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ピピピピ、と少し高めの電子音が鳴り、善がハッとした顔をする。 突然の音にしょんぼりしていた次郎もびっくりしたらしく顔をあげた。 音源は善のポケット、の中のケータイである。 (この音は風紀用の着信音か…) ケータイを出しながら思わず顔をしかめてしまった。 次郎にことわってから電話にでる。 「はい、もしもし」 『善、次郎そこにいる?』 伊賀のすこしピリピリした声が聞こえた。 「いますけど…なんかありました?」 次郎の所在を確認する電話ならよくあるが、こんなにピリピリした雰囲気は初めてだ。 次郎は自分のことを指していることがわかり、首を傾げた。 『目立たないように次郎を猿山に連れて来てくれる?』 「猿山…」 いわずもがな生徒会室だろう。 「なんかあったんですか?」 思い当たることはさっき叫びながら消えた猿、もとい条山和樹のことくらいだ。 『俺もよくわからないんだ。詳しい話は来てからね』 その言葉を最後に電話が切れた。
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