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「んん…っ」
離せ、と胸をドンドン叩いたがビクともしない。
それどころか襟を掴んだ手で後頭部を引き寄せられ、さらに深いものになった。
咄嗟だったからふせげず、開いた口から先輩の熱い舌が入ってきた。
食べる、という表現がぴったりなくらい隅々まで噛みつくようにキスをされ、頭がクラクラしてきた。
「ふ…ぁっんッ」
反抗するように口を閉じようとするが先輩はそれを許さない。
この人ずっと前からやたらキスは上手いんだよなー、やめてくれほんと
朦朧とする意識でそんな文句がぽわんと浮かび、もはやされるがままだった。
「…っは…ッ」
「相変わらず肺活量たんねーな、そんなんで女とキスできるわけ?」
情けないことによだれを垂らしていたらしい
親指でぐっと拭われて、目の前には憎たらしいほど綺麗な顔があった。
「また会いにくるから」
耳元でささやかれ、飛鳥先輩はほっぺに軽く唇をおとすと俺をそばにいた七瀬会長に預けた。
…くそ腰抜けちゃったじゃねーかこの野郎…
去り際に「あ、そうだ」
と言わんばかりに振り向いた飛鳥先輩はとんでもない爆弾を置いていった。
「理事長に、次郎を仕事に借りていいかって聞かれて、二つ返事でおっけーしといたから、頑張れよ次郎」
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