第一章

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びっくりした。 びっくりした。 ふんわり石鹸みたいな香りにぎゅっと包まれ、さらさらとした銀髪が目の前に見える。 そして耳元で次郎、と囁かれているこの状況にびっくりしすぎて動けなかった。 さっきまで確かに金髪の美人とイチャコライチャコラしていた(夢) キスしようとしたところで(夢)ものすごい痛みが頭に走り、ガバッと起きた。 顔をあげると知らない顔の人たち(正確には知ってる人も何人かいる)がじーっとこっちをうかがっていた。 そして目の端にうつっていた銀髪がすんごい勢いでこっちに近づいてきて、この状況である。 俺と同じくしてクラスメイトも佐賀もびっくりしていた。 クラスメイトも佐賀もこっちをみてあんぐりしていた。 うーん、と。 この途方にくれた状況にもはや冷静になってきた。 「えっと、善ちゃん?もしかして」 なお自分を抱きしめる銀髪におそるおそる聞いてみるとその頭が大きく縦に動いた。 「次郎、久しぶりだね」 久しぶりに聞くとほんと心地がいいなこの声は、と口が緩んだのが分かった。 ゴホン、と咳払いが聞こえて顔を上げるとホストがこっちを見下ろしていた。 「状況を説明してもらいたいのはやまやまなんだが、とりあえずホームルーム始めたいから席につけ、 桐生は後ろの廊下側、そっちじゃないそっちは窓際だろう馬鹿が」 ホスト教師によって形だけはなんとか普通のホームルームの姿となった。
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