第四章

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「知ってる知ってる、突然現れた黒髪美人とかって騒がれてたけど、桐生去年はわりと日本にいたよな?」 突然現れた黒髪美人?? なんかこう、あんま嬉しくないなその表現 褒めてるのかね それよりこいつと会ったことあったっけ俺… 「あー、もしかして覚えてない?俺去年ヒラ風紀だったんだけど」 ヒラ社員みたいなノリで言うそれに思いついたのはあの忌まわしい事件だ。 「あー、もしかしてあの時の?悪い、そんときのことあんま覚えてなくて」 「いや、だろうな普通そうだよな」 ククッと笑うその顔に、あぁ、確かにみたことはあるかも、と頭を掻いた。 「今年は風紀じゃなくて保健委員やってんの俺。」 「あ、そうなの」 風紀の選ばれる基準は強さ、らしい。 それが精神面なのか肉体的になのかわからないが適材適所で学校の風紀を守るには選ばれた生徒にしかできないらしい。 「勧誘されたんだけど、喧嘩はやめたいなと思って」 こんなのほほんとした顔のくせに物騒なことをいう。 まぁ風紀より保健のほうがあってそうだ。 「だから怪我したときは俺んとこ来てもいいぜ?」 「ありがとー」 おお、友達っぽい 変なところに感動した俺はヘラ、と情けなく眉をさげて笑った。
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