10403人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーー
ーー
「最近和樹、私たちとずっと一緒ですね」
嬉しそうな久住の声が生徒会室で浮いていた。
和樹は楽しそうなものの、時々暗い表情を浮かべる。
七瀬は前会長の飛鳥が来てからというもの、心ここに在らずといった感じだ。
要はソファの端っこで体をのばし、何処か遠くを見ていた。
「和樹、桐生くんと何かあったの?」
お茶を運びながら和樹に話しかけたのは、まだ次郎に認知されてない生徒会庶務、榊優一だった。
また榊も和樹に魅せられたものの一人だった。
「ゆーいち…次郎が意地悪するんだ…」
「桐生くんが?」
「俺に、ここに行くなって言うんだ」
その言葉に久住が眉を寄せる。
「そんな言葉無視していいですよ。桐生次郎は和樹のことを独り占めしたいだけなんですから」
「和泉…俺たち親友だもんな?」
久住は親友という言葉に微妙な思いをしながら和樹の小さい体を抱きしめた。
「和樹と私はずっと一緒ですよ」
「俺も一緒だよ、和樹」
榊と久住、両方に抱きしめられ機嫌がなおった和樹。
「おい、てめぇらそいつは俺のだろ、離せ」
デスクから聞こえてくる七瀬の自分を求める声にさらに頬が緩む和樹は次郎のことなんてすぐに頭から飛んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!