第四章

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「よっ次郎!」 「うん、おはよ巴」 「あれ、次郎指切れてんじゃん」 巴の視線の先にはすでに血が滲んでる絆創膏 どうってことのない、ただの俺の不器用さが作ったささいな怪我だ。 「絆創膏変えとけよ、ほら」 ポケットから絆創膏ケースを出した巴に「女子か」と突っ込む 「次からカッター使う時には注意しろよ次郎」 「うっさい、いつもは切らないよ、たまたま切っただけ」 …少し違和感を感じた 俺、なんで怪我したか言ったっけ? 善ちゃんも同じことを思ったらしく 「ねぇ、なんで次郎がカッターで怪我してたってわかるの?」 訝しげに聞いた。 「え?ちがうの?」 それは心外とでもいうように言う巴。 「いや、そうなんだけどさカッターだけど」 「傷みりゃわかるだろ?俺伊達に保健委員やってねーよ」 保健委員、という言葉に善ちゃんが眉を寄せたのに俺は気づかなかった
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