第一章

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雰囲気は依然ふしぎなもので、クラスメイト全員の視線は俺と善ちゃんに注がれていた。 「?あれ?条山は?」 俺の隣が空席になっているのを見て佐賀が首をかしげる。 「条山くんなら集会後に生徒会一行様に連れてかれましたけど」 生徒の言葉に佐賀はまたか、とため息をついた。 「まぁいい、じゃあ桐生お前ちょっとこい」 すでにその場所で寝ようとしていた俺わざわざを呼んで教卓の前に立たせる。なんなんだ。 「なんですか」 「自己紹介しろ。 在籍してたとはいえ新学年になってから一回も来てねーんだから知らねー奴もいるだろ」 あぁ そういうことか。 「桐生次郎です。 知ってる人もちらほらいるとおもうけど、留学してました、 またよろしくお願いします」 そういってへらりと笑い、席に戻る。 あぁ、眠い 淡白な自己紹介にざわざわする教室を尻目にまたうつぶせになって寝始めたのだった。 「よく見るとかっこいいよね」 「なんか白いし細いし、エロい」 「留学とかかっこいい」 授業が始まってもなお騒ぐクラスメイトに柴田善はうんざりした顔を浮かべた。 当の本人である次郎はあれから起きることなく時々スピスピ言わせながら寝ていた。
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