第四章

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「あーあ、巴が変なこと言うからせんせーいっちゃったよー」 ふざけたように言うと巴が首を傾げてわらいながら 「えー、次郎って佐賀ちゃんのこと好きなんだ?巴妬けちゃうわ」 とおかま口調で返してくる こいつやっぱ馬鹿だわー と内心ほくそ笑んでからふとおもった。 その表情に気づいたのか巴は 「?なに?引いたの?ごめんね?」 とすこしも申し訳なさそうでない口調で俺の頭をまたわしゃと撫でた。 「んー、いや今更引かないけどさー、 巴って最初の印象とずいぶん違うのなー」 もっと爽やかキャラかとおもった。 巴の表情がすこし引きつったのには気づかなかった。 「まぁ、いまのアホーな巴のほうが好きだけど」 そう言って見上げると目を瞠った巴と目が合う。 「…ッもうほんと調子狂う!!もうもう!!!」 巴はすこし表情を歪めてからその表情を隠すように俺の肩口にぐりぐりと顔を押し付けてきた。 「?なに巴」 ぐりぐりしてくる頭をさわさわと撫でるとこげ茶の髪の毛が意外に柔らかくて驚いた。 というか俺より結構タッパあんのに体制きつくないんだろーか 「あーもう!!ほんと調子狂いっぱなしだよ…こんなはずじゃないのに」 「え?なに?」 巴の声は俺のTシャツに吸収されくぐもってて聞こえづらい。 俺の問いかけには答えずにしばらく巴はぐりぐりしていた。
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