第四章

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しばらくして落ち着いたのか、巴はいったん顔を上げてからまた正面から俺を抱きしめた。 どうでもいいけどあつい 「ねぇ次郎、今日気をつけてよ」 「なに突然ーなにに?」 「なんでも。一人にならないで、絶対気をつけて、なんかあったら叫んで」 「??」 「巴様からのありがたい予言だぞ、絶対気ぃつけろよ」 いつものふざけた口調ではなく、真面目なそれに俺は無意識に首を縦に振っていた。 「っとに俺なにやってんだろ」 巴がぼそりとつぶやいたことは聞こえなかったけど、とりあえず今こいつはどうやら真剣らしい。 気をつける?なにに? 怪我? 熱中症? あぁ、俺そういえば朝から頭痛してるんだった。 忘れてたのに思い出しちゃった…いてぇ…くそう… 「サッカー、白組が2勝で青組と引き分けだってさー」 山内が悔しそうな顔をしながら救護テントにくるまで巴は俺を抱きしめていた。
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