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固まった次郎をみて要はやっぱり、と笑みを引きつらせた。
「え、でも会計さんバスケ班じゃ…え?」
もっともな質問にまわりにいたS組バスケ班がどよめいた。
そうだ、要はA組のバスケ班リーダーだ。
本来ならば助っ人は他の班のリーダーが来るはずなのになぜかバスケ班が来た。
これにはまぁ深いわけがあったのだが。
ーー10分前ーー
要は準備運動がてら他の班のまわりをぷらぷらとあるいていた。
「S組のバスケ班が助っ人募集してるらしいぜー」
「まじで!俺応募しよっかな」
騒いでいたのはどうやらC組のサッカー班
S組にそんなに憧れる理由はしらないが顔を赤くして興奮したように手をぶんぶんと動かしていた。
「金谷あんなガリ勉クラス好きなのかよー趣味わりぃー」
「はぁ?S組なんかに興味ねぇよ!でもS組バスケ班って桐生いるじゃん?俺タイプなんだよなぁ」
「うげぇ金谷動機不純すぎ」
ゲラゲラとまわりがはやしたてる。一方チラリとそのセリフを耳にした要は覚えのありすぎるその名前に固まっていた。
「同じチームで試合なんてしてみろよ、触りまくりだぜ?喘がれたらその場で押し倒すかも俺」
「うわ金谷さすがすぎ今日すでにそういう予定あるのに桐生にも手出すのかよー」
「うっせぇよ!桐生のほうが好みだもんなあんなちっちゃいのより」
下衆な話をききながら要の頭の中のバロメーターが少しずつ上がる。
「ねぇ君たち、今の話風紀委員長にチクられたくなかったらぁ、俺の代わりにA組バスケ班助っ人になってよぉ」
いつもの余裕な笑みと、垂れさせた目で物陰から要が進み出る。
ゲス野郎たちをどうにかA組の助っ人とし、かわりにS組の助っ人として要が名乗り出たのは言うまでもない。
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