第四章

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「善、そいつB組って言った?」 嫌な予感がする、と伊賀は目を細めた。 「はい、B組の、あー名前忘れちゃいましたけど バスケ班リーダーって次郎が言ってました」 その条件に当てはまるのはひとり 伊賀の頭に一見爽やかそうな生徒の顔がぼんやり浮かんだ。 去年は一緒に仕事もしていたが、伊賀もどうもその生徒に苦手意識を持っていた。 「善、もしかしてそいつの名前平岡巴じゃないか?」 名前を試しに口にすると善は首を傾げた。 「あー、次郎名前しか言ってませんでしたけどそうですね、ともえ?みたいなそうですね。 …え?平岡?」 善は以前風紀の間で話題になった「平岡」を思い出して顔を引きつらせた。 ーー「後輩=可愛いの方程式が当てはまらんやつや」ーー 西園寺の苦々しい顔 そして ーー「平岡が、いたんだよね」ーーー 伊賀の刺々しい言い方 「委員長、平岡ってまさか…」 「まさかそんなに次郎と接近してるとは思わなかった。 善、この際言っておくけど平岡巴という人物はね…」
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