第四章

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「山内、そろそろ俺も動くー」 幸い体力はたっぷり。 そう言うと山内は嬉しそうに笑い、「じゃあガンガンいけ」と言った。 つまり自由に動け、と。 「イエッサー」 そう答えて俺は一目散に走る。 絶対海外行くんだ 行って美女とニャンニャンするんだ 絶対絶対勝ってやる 不純な動機だとは分かってるが今の俺にはそれだけだった。 「なんか黒髪、動き変わったぞ!?」 「やばいはやい!!」 突然の超攻撃的な次郎に相手チームは悲鳴をあげる。 「大丈夫だ、囲め」 赤組組長がそう指図すると赤組バスケ班が大人しく次郎を囲んだ。 「あー、まじで、 全員こっちきちゃった?」 さすがにお手上げだ。 チームメイトは完全にマークされてる。しかもちゃんと相手をみてマークしてるから厄介だ。 「きりゅ…次郎!!!」 久しぶりにその声が自分を呼ぶのを聞いて、なぜかホッとしてしまった。 すばやくマークが動くのがわかる。 目があった会計は見たこともないキリッとした顔をしていた。 なにあれ似合わねー なんて無粋なことを考えてボールを放る。 その瞬間これまた似合わない猛スピードでジャンプした会計がボールを弾いた。 会計にパスが回ると焦った相手チームは一気に会計側に移った しかしボールは弾かれまた俺の手の中 「ナイス会計さん」 じろう、となぞるようにその声が俺を呼ぶのを背中にうけながら、すっきりした気持ちでゴールにドリブルで向かった。
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