第四章

52/98
前へ
/861ページ
次へ
それからは自分も、多分あっちも驚くぐらい会計さんとは息があって、すでに大きく差は開いていたのにさらに開けた。 会計さんは最初こそ気まずそうな顔をしていたが、途中からはよく見る笑顔に変わった。 「そこまで!!!!」 ピピーッと笛がなり、選手たちの動きが止まる。 「白組の勝ち!!!」 無事勝てたみたいだ。 ってうわぁ、頭がグワングワンする。無理しすぎた?というか久しぶりにこんなに動いてる。 次郎よくやった、とか次郎様おつかれ!とかいろんな声がかけられたけど、満足に返事もできず、どうにか日陰まで移動するとしゃがみこんでしまった。 「…はぁ…ッ」 なんか暑いし、苦しい うあーまじやりすぎたー くそ苦しい そのときふわりと体が浮く感覚がした。 「…かいけーさん…」 「次郎ほんとごめんねぇ」 会計は俺の脇の下に手をいれ、優しく立たせると正面から抱きしめた。 幸い興奮している生徒たちの視線からは死角となる場所だったから聞こえそうな叫び声も聞こえない。
/861ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10411人が本棚に入れています
本棚に追加