第一章

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「私がいいたいこと、分かってくれたかな。」 顔の前で手を組んで一点ををじっと見つめる男性。 50代らしいけどそんな風には全く見えない。 白髪混じりとはいえ断然黒い面積のが多い髪の毛、それに見合うかのようなグレーの瞳。 口元は厳格にキュッと閉じられていてキリッとした表情と、ガタイの良い体からは大人の色気が溢れている。 この男は全寮制男子校、そしてマンモス校で有名な南条学園の学園理事長、条山といった。 「はぁ、」 気が抜けたような声で返事をするのはひょろっとした男子高校生。 一見地味な学生だが、よくよく見ると整った顔つきをしている。 艶やかな黒髪、それとお揃いの黒い瞳。 血色のいい唇、そしてそれらが映える白い肌 それに加え、眠たそうに垂れた目に、それに沿うようにある二連の涙黒子 「分かってくれたならいいんだ。」 ふっ、と笑う理事長に生徒はびくりとと肩を震わせた。 「すみませんわからないです」 「端的に言うと、君はしばらく留学禁止 大人しく日本のここで勉強しなさい。」 その言葉は少年への死刑判決みたいなものだった。
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