第四章

53/98
前へ
/861ページ
次へ
「…なにが」 汗かいてるから首筋に顔埋めんのやめてほしい その質問には答えずに、会計はさらに俺をぎゅっと抱きしめた。 ハニーブラウンの髪におそるおそる触れると、会計は一瞬ビクリと揺れた。 「あーごめん、俺ぇ、次のバレー助っ人入ってるんだったぁ」 会計はそそくさと俺から離れるとキョロキョロまわりを確認する。 「かいけ…「ばいばぁい、桐生くん」 俺の声を遮り、また呼び方を戻した会計は去って行く 追いかけなかったのも、それに対して異議を唱えなかったのも、会計があまりにも情けない顔をしていたからだ。 「あー、もーほんとなんなの」 少し残った石鹸の香りは会計のものだろうか ふたたび始まった頭痛に、俺は一度額に手をよせ、意外にも熱い額に自嘲気味に笑みをこぼした。 どーしろってんだくそう
/861ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10411人が本棚に入れています
本棚に追加