第四章

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ーー ーーーー side.柴田善 「善の試合見れないの残念だったなぁ」 目の前で無駄に均衡の取れた体をほぐしながら伊賀委員長が言葉を発した。 サッカー班の助っ人をやり、バスケ班でもしっかり試合し、さらにはバレー班の助っ人にもなったらしい。 この人インドアかと思ってたら意外にもアクティブだ。 ちなみに俺は完全にインドア派 「俺も先輩に見てもらえないなんて残念です」(棒読み) 思ってもないことを言うと伊賀は嫌な笑みを浮かべながら頬をグニュ、と掴んだ。 「素直じゃないなぁ善はほんとに」 「ほれはろーも(それはどーも)」 ぶんぶんと顔を動かしどうにか伊賀の手から逃げる 「平岡を見張らなきゃと思ってたんだけど、あいつも助っ人で次のバレー班に出るみたいだからよかった」 「そうですか」 ホッと息をつく。 にしても人づてに聞いた次郎のバスケの試合はすごかったらしい なにが?と聞くと色気が、と笑顔で答えた男子生徒は後で締める予定だ。 お色気作戦なんて馬鹿げたものを考えたらしい山内も締める予定だ。 俺は随分忙しい。 どうやら次郎は次は助っ人ではないらしい。 ならまぁ、危ないことにはならずにのんきにクラスメイトといるんだろう 友達が少ない少ないなんて嘆く癖に本人は無自覚タラシで実は次郎を慕ってる人が多いことをしらない 「まぁそんなアホなとこもいいんだけどね」 俺のつぶやきは観衆の声に掻き消された。
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