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「、」
喋ろうとして、発したはずなのに声が出なかった。
なんかカラッカラだわ喉
あー、なんかおでこに冷えピタ貼ってあるし風邪ひいてたんだなやっぱし
「次郎、声出ないのか?」
いつもの和くんの元気な声は弱々しくなっていて、チクリと胸が痛んだ。
み、ず、
と口パクで伝えると慌てたようにペットボトルをくれた。
ごくごく飲んで生き返ったら少しだけ喉の痛みがおさまった。
「和くんはどこもなんともない?」
すこし掠れてるが声が出た。
その掠れた声でまた和くんが悲しそうな顔をするから思わず抱き寄せてしまった。
「なんで俺の心配なんかしてんだよ!俺なんてほっとけばよかったのに!次郎は馬鹿だ」
馬鹿だ、馬鹿だと言いながら涙を流す和くんの目元は赤くなっていて、ずっと泣いていたことが分かった。
「だって和くんのこと大事だもん」
だからほっておけるわけない。
和くんの叫び声だって気づいたときの走りようは過去最速だった気がする。
「ごめんなさい…次郎の言うこと聞かないで逃げてごめんなさい…」
今度は謝罪か、と少し笑ってしまった。
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