第四章

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「いいよ、俺の言い方も悪かったよね。 でも今回みたいに和くんに危ない目にあってほしくないから」 「次郎は、悪くない!全部俺が、俺のせいで、」 「べつに俺、なんともないよ?最後までヤられてないし」 最後までヤられてもたぶんそこまでショックとか受けなかったし 「でも、あんなの、次郎があんなことされてるの見たくなかった…俺のせいで」 あーこれはらちがあかないやつだ 珍しくネガティブ(?)モード突入してるし。 だいたい勝手に顔を突っ込んだのは俺なんだから和くんは悪くないのにほんと。 たしかになんか触られたのはきもかったし、自分の声もきもかったし、口に突っ込まれたのもきもかったし、 でも和くんがおんなじことされるのを考えてるんだったら俺がやられたほうが全然マシ 「ねー和くん、」 うつむいて泣く和くんのほっぺに手を添えた。 「なにじろ…」 それに反応して顔をあげた和くんの唇に軽くキスを落とした。 「っ!?」 「今のファーストキス?」 言葉にならない!という驚きを見せつつコクコク頷く和くんにニヤリと笑って見せる。 「じゃーこれでおあいこね。どーだ、俺にファーストキス奪われて悔しいだろー」 これが今回の和くんが受ける罰、そう言ってもう一度笑えば和くんはくしゃりと顔を歪めて、ゆっくり笑った。 (こんなのむしろご褒美なのに) 和くんの心のつぶやきなんて聞こえなかった。
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