第四章

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「次郎熱で倒れたって聞いたけど大丈夫なのか?」 学校に行くと、球技大会をきっかけに仲良くなったクラスのバスケ班が駆け寄ってきた。 チラ、と善ちゃんを見ると頷いている。 どうやらあの事件は一般生徒には公開しないようだ。 まぁそうだよな。 「んー、頑張りすぎたから」 「そうだな、桐生がんばったもんな!」 「次郎くんかっこよかったよ」 そういえばだけどさ、 「球技大会の結果聞いてないんだけど、勝ったの?」 もちろん勝ったよな!? と言うと山内がきょとん、とした顔をして俯いた。 え、なにその反応 もしかしてあんなに頑張ったのに負けたとか!? 「それが…」 「嘘だろー!?海外美女と遊ぼうと思ってたのに!!!」 まじかよまじかよ 山内はなお俯いている。 …?なんか肩震えてないか? 「山内、桐生がかわいそうだろ、ほんとのこといってやれ」 「ほんとのこと?」 そういうと山内は笑いを堪えた顔を上げた。 …笑ってたのかまじ死ね 「勝ったよ、無事」 危なかったけどな、と山内はにっこり笑う。 「よかった!!!!!海外!!!!」 美女に会うだろー? にゃんにゃんするだろー? にゃんにゃんするだろー? えっと、あとは 「喜んでるのに水を差すようでわるいが、景品の海外旅行は試験後だぞ」 だるそうな声が聞こえて振り向くと佐賀先生が立っていた。 相変わらずのホストっぷりに感動です 「あ?ホストじゃねぇよ」 「人の心覗かないでください」 「てめー桐生喋ってたぞこら」 なんかすごい普通の日常がそこにあって、なんだか妙にさみしかった最近を埋めてくれた。
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