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「おはよう次郎」
机で突っ伏して寝ている次郎の髪の毛をクシャクシャしながら善は微笑んだ。
「…ん、善ちゃんおはよ」
寝起きでトロンとした表情に善はにやけそうになるのを必死で噛み殺し、
「また寝てるの?佐賀きちゃうよ」
そう言って爽やかな笑顔を貼り付けた。
5日目となれば周りもその風景に慣れてきた。
普段無表情で絶対零度な、あの柴田善が笑っている
初めはそのことに戸惑い驚き興奮し、また次郎との関係を疑問に感じて憤慨していた生徒もいた。
しかし次郎はあくまで次郎だった。
「ねぇ、善様とどういう関係なの?」
わざわざ善のファン達、五人ほどが善がいないときを狙って問い詰めに教室までやってきたこともあった。
寝起きの次郎は体を起こすこともせず、突っ伏したまま
「善ちゃん?んー、友達なんじゃない?」
と緩く答えた。
「君みたいな人が善様の友達?おこがましいにもほどがあるんじゃない?」
「なにもう…怒ってるんですか」
とりあえず睡眠
九割を睡眠欲で支配されていた次郎はそのファンの責め立てるきゃんきゃんした声など耳に入らなかったようだ。
その舐めたような態度に腹を立てたのはそのきゃんきゃんうるさいファン達だった。
「舐めないでくれる?!!君なんてどうとでもできるんだよ!!?
そろそろ顔くらいあげなよこの平凡が!」
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