第一章

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「え」 次郎の口から出た名前に善は固まった。 「?俺同室だしクラスも一緒のはずなのにあったことないんだよねー なんでだろーって」 自分の同室の顔くらいそろそろ拝みたいものだ、と次郎は嘆息した。 多分授業には出ていないだろう勘ではあるけれど そもそも授業出てないってことは特待生なのかな うえー、俺と一緒じゃん秀才君なのかなー 俺なんて出来るの言語だけだしなー、数学は授業聞かないとほんと無理だし 「…条山和樹、って言ったの?」 固まりから解けた善が一応聞き返した。 そうであってほしくなかった 「そ、条山くん」 条山和樹は善にとってかなり、苦手というか好きではないタイプなのだ。 変な時期にやってきた転校生 Sクラスに転入するということはかなり頭脳明晰なのだろう 誰もが興味を持ち、一目みようと押しかけてきた。 しかし当の本人の見た目は少し変わっていた。 もじゃもじゃした髪に分厚いメガネ それよりなによりもそのもじゃもじゃ転校生だった条山は次々に学校の人気者を手玉に取ったのだ。 親衛隊は荒れ、風紀も手をやいていた。 そしてさらなる事件 条山和樹が本当の姿を現したときだった。 もじゃもじゃの髪の毛がとれ、太陽にあてられきらきら輝く金色の髪の毛、ぱっちりした青い目にぷっくりとしたピンクの唇 「天使みたい」 その場にいた人たちは固まってしまった。 当たり前かのように親衛隊が結成され、条山和樹は人気者へと立場を逆転させた。 人気者の生徒会役員達、そして一匹狼の不良くんをさらに惹きつけた条山和樹は学園ではちょっとした有名人だった。 ーー 「というわけだよ、わかった?次郎」 コーヒー牛乳を再び飲み始めた次郎に返事を求めた。 なにが言いたいかって? つまりまぁ条山とは関わるなということだ。
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