第二章

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セクハラのひと、という呼び名に七瀬含めその場にいた人がみなぎょっとした。 「会長に向かってそれはないだろ…てか服を着ろ、服を。」 なにいってくれるんだこいつは!!!と叫びたいのをグッと抑えて七瀬は着ていたブレザーをばさっと次郎にかけた。 そうでもしなくては理性が保てそうにない格好を次郎はしていた。 風呂上がりのために上半身はなにも身につけず、下は緩いスウェットのみ。 病的に白い肌は熱を帯びて火照っていた。 髪もまだ濡れて真黒なそれから雫が落ちる。 加えて和樹によって体を床に投げ出されたという痛みによってなのか、垂れた黒目がちの目は潤っていた。 その様子は誰がみても間違いを起こしそうなくらい艶かしいだろう、と七瀬はため息をついた。 「かかか会長!!?」 そんな七瀬に驚いたのは次郎だ。 ウォオアエエエオやってしまったやってしまった!!!! 最も嫌いな人種のキラキラアホ軍団の頭であるやつとかかわりあってしまった だから見たことあったのか…つかそんくらい把握しとけよ俺… しかもあれ…キス…とか… 「死に…たい…」 今更だと分かっていながら口を何度もゴシゴシゴシゴシとこすって、かけられたブレザーを投げ返した。 「え~俺たちが生徒会って知らなかったのぉ~」 「知らない人がいるとは心外です」 和くんを守るように抱きしめている2人のイケメンも…キラキラアホ軍団… 「帰ってください…つか出てって…ほんと萎える…」 吐きそう、と言いながら次郎はそばにあったタオルでさらにゴシゴシゴシゴシと唇をぬぐった。 「あ?お前なんだその態度」 さすがにしつこく唇をぬぐう次郎に驚き、憤りを隠せない七瀬が次郎の手首をつかんだ。 (ほっそ…) 「離してよ、ほんと生徒会ってなけでむり。ほんときらいなんだってば」 イヤイヤと暴れるが七瀬の力はそんなんじゃ振りきれない程度に強い。 「なにが気に入らねえんだよ 一応投票で選ばれてんだぞ俺らは。てめぇも知ってんだろそんくらい」 「知らないし、てかどうでもいいし、ついこないだ帰国したばっかだもん だいたい俺全然日本にいないし」 そう言って和樹の方に顔を向け ね? と同意を求めた。 「あなたが、噂の特待生ですか…?」 次郎の生活を聞いて反応したのは久住だった。
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