第一章

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「は??桐生!?」 前方に見えた男が俺をみて驚いたように声を上げた。 えーっと、だれだっけ すんげーホストみたい… かっこいいけどホストじゃんか、この学校大丈夫かな 「お前、まさか担任の顔忘れたとかじゃねぇだろうな」 思い出そうと唸っている間にそばに来ていたホストがそれはそれは怖い顔をする。 「担任?…あぁ」 忘れてた忘れてた というかずっと来てなかったからこいつに十回も会ったかも分からない。 つまるとこ、覚えてません。 「おぼえてるに決まってるじゃないですか、お久しぶりですね~」 明後日の方向を見ながら言葉を紡ぐ俺をホストがまた恐ろしい顔で睨む。 「ほぅ、やっぱり忘れてやがったか。 ったく何ヶ月も高飛びしやがって」 「高飛びなんてそんな縁起のわるいこと言うのやめてくださいよ」 ただおっぱ…異文化との触れ合いを求めて海外に勉強しに行ってただけじゃないか 「んで、落ち着くことにしたのか」 「おそらく?」 「なんで疑問形なんだアホ」 「いたっ」 パコーンとホストの手にしていた名簿で頭を殴られる。 「落ち着いたならいい お前のクラスは今年もSだからな。 2-S、分かったか?」 「はいはい」 「ちなみに俺の名前は佐賀だ。 覚えとけよアホ桐生」 「はいはい」 「ふざけてんのか」 「更年期ですか」 最近の若者はキレやすいっていうけどこの人の場合更年期だろうな。 そうつぶやけばもう一度頭をぱこんと殴られた。 「こんなんで不登校のくせにS組とか世も末だな」 「そうですね更年期ホストが教師やってるなんて世の末ですね…わっ、」 飛んだ暴力ホストだな。 痛い、と涙目で見上げると不敵な笑みでこっちを見る先生と目があった。 「痛いです」 不敵な笑みをフッと優しい笑みに変えて、先生は頭をぐしゃぐしゃしてきた。 「明日から、遅刻すんなよ」 無駄に男前でした。
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