第一章

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side.佐賀 ガラガラ、と聞きなれない音が聞こえた。 前を見ると珍動物扱いされる男。俺はツチノコだと思ってるが、 そんなツチノコ、桐生次郎がスーツケースをガラガラ引きながら歩いていた。 話しかけるとどうやら俺のことを忘れているらしい。 だけど脳内はどんなつくりをしているのか、最高知能を誇るS組の首席を陣取っているのがこの桐生。 眠そうなだるそうな怠惰なオーラしか出てないのに、すこし人懐こい、と思う。 数回しか会ったことはないけれど。 黒髪が風にふわふわと揺れ、垂れた目が優しい雰囲気を作り出す。 人をはねつけるような言動に反しすこし幼さの残る笑顔はこう、こう、 ぐしゃぐしゃと髪の毛をかき回したくなるような。 地味顔美人だ。悪口じゃねぇぞ。 なにがともあれ、アレ、が桐生に絡まないといいんだけどなぁ 小さくついたつもりのため息がおもったより大きかった。
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