第二章

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つまらないってなにさ つまらないって いや、確かに伊賀さんとか善ちゃんとか、不本意だけどキラキラアホ軍団に比べたらつまんないくらい平凡ですよそうですよ それになんだよ条山信者って 友達って対等なものなんじゃないのか… 信者って…そんな崇拝するようなものじゃない気がするんだけど うーむ、難しい 俺同性に嫌われやすいから友達できたことあんまないし そんなことをごちゃごちゃ考えていたら思ったよりも近いところに伊賀の顔が差し迫っていることに気づいた 「ヒッ」 「やっとこっち見たね次郎 つまらないって言ったから落ち込んじゃった?」 さっきと変わらず、顔は笑っているが目は全く笑っていない恐ろしい表情と冷たい声 そんなこたぁどうでもいい、と次郎は口を開いた。 「つまらないのは分かってるんでそんなのはどうでもいいんですけど、 友達って相手を信仰するものでしたっけ」 「……は?」 伊賀の気の抜けた答えが返ってくるのに随分時間を要した。 「だから、俺は和くんとは友達と思ってるんですよね でもそれが信者っていうなら、俺は和くんとはもしかして友達じゃないのかな って」 至極難しい、とでもいったような次郎の表情に伊賀はまたしばらくほうけたのち 「うわ…ッ」 次郎を思い切り抱きしめた。 「あぁ、やっぱり俺のわんこは面白い。 つまんないなんていってごめんね、次郎は最高に飽きないよ」 つまんないと言われて、 信者だなんて言われて、 しかも女の子や他の男子でも頬を染めそうな距離に顔を近づけて、 それでも真剣に友達の意味について考えてしまう、少し軽い次郎の頭に伊賀はホクホクしたようだった。 「次郎がそういう意味で条山和樹といないっていうのは分かった そういうことならしょうがないからサポートしてあげる」 「はぁ…(?)」 「でも気をつけないと、あのアホどもに目をつけられて盗られちゃうね。 絶対手離してなんてあげないよ、ねぇ、次郎」 耳元でなにかを確認するように名前を呼ぶ伊賀 なにがなにやら まぁ分かったのはこの人のテンションはよくわからないスイッチに支えられてる つまり怖いってことだ。
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