第三章

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「…わかるくらい疲れた顔してるの?俺」 「うん、わりと。 はい、ベッド使っていいから」 よいしょ、とベッドから這い出てかわりに善ちゃんを押し込んだ。 その間なにしてよーテレビでもみよっかなー そう思いながら善ちゃんに「おやすみー」と言って背をむけると、 「わっ!!?」 ぐいっと手を引かれて視界が反転した。 背にはついさっきまで共にしていたベッドで、目の前に整った綺麗な善ちゃんの顔、その後ろに白い天井が見えた。 顔の横につかれた手によって体制を理解した。 「……善ちゃん?」 「あのね、男を軽々しくベッドにあげるなんてそんな無防備なことしていいと思ってるの」 いや俺も男なんだけどな 「次郎、わざと?それとも無意識?」 どっち? と耳元で囁かれ 「わざとじゃ、ない、です」 たどたどしく答えた。 「そう」 直接耳に送り込まれる吐息にビク、と肩が揺れてしまった。 ぞわぞわする。 「ひゃ、ちょ、ぜんちゃ…」 ちゅ、と耳にキスされてじわじわと体が熱くなるのがわかった。 「…ん…ッ、ぜんちゃん、それやだ…っ」 そのまま耳たぶをゆるく噛まれてまたビクリと体が揺れる。 その反応に善ちゃんが笑った気がした。 「やだ?これ」 また耳元で無駄に良い声が聞こえてコクコクと頷いた。 「じゃあこれは?」 ピチャ、と水音が聞こえ経験したことのない刺激が与えられた。 「ひぁ…ッちょ、むり、やっ…だ」 ぬるりとした熱い感覚を感じ、善ちゃんの舌が耳を舐めているのがわかった。 一生懸命体をねじるが、いつの間にか善ちゃんの体に抑え込まれ、固定されていて身動きがとれない。 「ふ…ッ熱い…やば…ッ」 ほんとなにこれなにこれなにこの感覚 直に響く水音、聞きたくもない自分の甘い声 「じろう…」 善ちゃんの優しい囁きが聞こえて、それでもこの感覚が怖くて、なにがなにやらわからなくて、 「ぜんちゃん…っ」 目の前の自分より一回り大きい善ちゃんの体に手を回してギュッとだきしめた。
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