21歳の梅雨

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いい匂いがする。 なんの匂いだろ?触り心地がいいシーツ寝返りをうつと眩しくなった。 「んー」 なんだか体が気だるい 頭が痛い、瞼が重くて開けない。 ああそうだ昨夜は菜乃華と飲めるだけ飲んだんだった。 もぞもぞ動いて気だるい体を起こした。 ゆっくり重たい瞼を開く 眩しい太陽の光が射し込む。 あれ?? ぼやけてる視界がクリアになるにつれて頭の中がハテナでいっぱいになる。 「え?え、え、ここどこ?」 知らない部屋、知らないベッドの上にいる。知らない服を着てる。 昨夜の事が思いだせない iPhoneを探す 枕の所に放り投げてあった。 時刻は午後0時ジャスト あまりに分からなすぎて、 ただベッドに座ってることしかできない 思い出せない記憶。 ぺたぺたとドアの向こうから足音が聞こえてきた。 誰か来る。どうしよう。怖い。 私は思わずシーツに包まり寝たフリをした。 ガチャと開く音がして、ぺたぺたと歩く音がする。 どうしよう。突然馬乗りされたら逃げられない。どうしよう。 カタッとテーブルに何か置いた音がした。 いい匂いがする。 そうだ、夢の中で嗅いだ匂い。 ゆっくり薄めに瞼を開く。 黒いテーブルに真っ白なマグカップが置いてあって、ゆらゆら湯気が出てる。 「起きた?」 「わっ!!!」 突然視界に男の人が入って思わずシーツで顔を隠して丸まった。 「ふっはは」 軽く笑われて、ぽんぽんと頭を軽く叩かれた。 あれ?デジャヴ? ゆっくりシーツから顔を上げると くしゃっと笑ってる男の人がいた。 *
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