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「大丈夫ですよ、僕は既に寿命を終えていますから。」
え?
「私はもう百五十年生きた魔女よ。家族なんて百年前からいないわ。」
なんと?
これは気を使わせたのか?
僕は兎も角、私の方は何となくそんな感じはしないな。
先程から感じるのは、逆のイメージ。
火と水みたいなものだろうか?
そんな事を思っていると。
━━━では、申し訳ないのですが、始めますよ?━━━
ついに、時が来た。
「後はお任せしますね。」
「あら、私じゃないのね。」
そんな声を最後に、二人の体が光になっていく。
「なっ!」
その光は、まるで還るかの様に俺の中に入り込む。
それは光の奔流。
━━━貴方は器を。彼は聖を。彼女は魔を。貴方は中立と公平を。彼は秩序と法を。彼女は混沌と自由を。━━━
「これは………」
満ちる、満ちる。
何か欠けたものが埋まっていく。
足りなかったものが溢れてくる。
やがて、二人の光が完全に俺の中に入り込み、辺りに神の気配しかしなくなった時。
━━━では、神代よりの使命です。灯し、照らし、導きなさい。貴方を縛る枷はもうありません。幸運を。━━━
気付けば俺は最初からあった光の中に、まるで吸い寄せられる様にして意識を失っていった。
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