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………それは、日によって微妙に満ち欠けする青い星を月と呼ぶならば、満月の夜。
幾多の星々が天から地に降るのも最高潮の時。
一組の若い夫婦の元に、後世『太陽王』と呼ばれる王子が誕生した。
今はまだ、眼も開かず泣く事しか出来ない赤子であり、母親であろう女性に抱き抱えられており、その傍らには父親であろう男性、幾人かの女性達が見守る中、すやすやと寝息をたてて眠っている。
「貴方、この子の名は?」
女性が赤子を起こさない様にベッドに寝ながら問い掛ける。
「シャーリー、僕ね?先程、夢を見たんだ。」
貴方と呼ばれた男性はその質問には答えず、まるで関係の無さそうな事を喋り始めた。
「夢、ですか?」
女性は、夫が話すのだからきっと意味があるのだろうと、まるでせがむ様に純粋な眼を向けた。
「きっと、あれはこの子だったんだと思う。」
そして、彼は夢の内容を周囲の皆に聞こえる様に語り出した、そしてこう締め括った。
「親馬鹿と言われるかもしれない。でもね、シャーリー。夢の中の彼は皆に好かれ、まるで太陽の様に民達を照らしていたよ。だからそれが本当になる様にこの子をこう呼ぶよ。」
彼は我が子の頬を撫でながら、一呼吸置いてまた口を開いた。
「レオン。」
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