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「ここは何処だ?」
目が覚めた、と言うよりは意識がはっきりした俺が居たのは、一言で言ってしまえばただただ白い空間。
何も視線を遮るものもなく、何かが視界に入る訳でもない。
雨の中の買い物帰りで、左手に傘、右手に安売りのトイレットペーパーと卵、妹の好きなプリンの入ったエコバッグを持っていた筈だが、それも見当たらない。
ふむ、これは困った。
誰もいないし、何もないではどうしようもない。
仕方がないので、その場に座り込もうとする…
が、そこで気付く。
「は?」
それは随分と間抜けだったのではなかろうか。
立っていたと思っていた場所に床はなく、座ろうと前傾姿勢になった俺は勢いそのまま…
ぐるぐると回転。
「おわっ?」
なんだってんだ畜生!
勢いを殺し、バランスを保ったのはそれから体感にして約一分後。
誰かに見られていたら、さぞや恥ずかしい思いをしていたであろう。
「ふぅ。」
一息つき、再度辺りを見回す。
そして、ある一方に白の中でも分かる位の光が見える事に気付く。
「行ってみるか。」
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