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ふむ、成る程。
先程の醜態で分かった事だが、どうやらこの夢にしか思えない白い空間では、思った事が優先されるようだ。
今、俺は飛んでいる。
比喩的表現等ではなく、実際に飛んでいるのだ。
流石夢の中、と言えばいいのか?
楽だ、非常に楽だ。
「っと。」
気付けば光の近くまで到達していたらしく、体を止めるイメージ。
すると面白い様にピタリと止まる俺。
どうやら仮説は正しい様で、慣性や重力等の物理法則はまるっきり意味がないらしい。
と、そんな時だった。
━━━君を待っていたよ━━━
突然、頭の中に声が響いた。
男か女か、若いのか年寄りなのかまるでわからない声。
最早意味を持つ音と表現した方が良いかもしれない。
「誰だ、何処にいる?」
辺りを見回すも、目の前には存在感のある光だけ。
まさかと思いつつその光に手を伸ばそうとし、
━━━触れてはいけないよ、まだね━━━
まるで弾かれたかの様に俺の手が戻る。
「えっ?」
俺の意思じゃないぞ、今の反応は。
頭に響く声が発せられた瞬間に、動きが巻き戻されたかの様な感じだった。
━━━はじめまして、僕━━━
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