始まり

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それでも。 「なぁ、神様?」 ━━━何でしょうか?━━━ 仮に、あくまでも仮になんだが。 「俺が。いや、俺達がか。元に戻ったらさ?もう妹には会えないのか?」 その言葉に雰囲気が一瞬固くなった気がしたが。 ━━━それは━━━ 「いや、分かったよ。今の間があったので理解した。」 すまん、兄ちゃんもう戻れないみたいだ。 悔しいなぁ。 あいつの花嫁姿を代わりに見るって、墓前で二人に約束したんだけどな。 先程から俺の置かれている状況は理解出来ている。 だが、納得出来ているかと言われればそうではない。 生まれる前から決まっていた、ある種の呪いの様なものだとは分かってはいるが、高校生に上がったばかりの妹を置いて蒸発せねばならないとは。 他人の奇異の目に晒される妹のこれからを思うと、とてもじゃないがやりきれない思いだ。 しかし、他の二人と一柱にはあまり関係の無い事だ。 それに。 「すまない、二人とも。お前達も家族や友人と別れてきている筈なのに。」 俺だけじゃない筈だ。 と思ったのだが。
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