第1章 弟が俺より先に恋をしたらしい

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俺には中学1年の弟がいる。 外遊びは苦手で体は強くないが、その分ゲームと憎まれ口が達者な、生意気な野郎だ。 こいつは普段から、俺に対して、モンスターを狩る、ゲットする、またはウォッチするとかいう話しかしないやつだ。 そんな弟が、恋の相談を俺にしてくるなど、一体誰が想像できただろう。 「オウフwwアニジャ!セッシャコイニオチタデゴザルノマキwwwキョウノカベナグリスレハココデスカ?」 おっと、なんだこいつは?暑苦しいな。"お前ら"を呼んだ覚えはないぜ! 「恥ずかしいのは痛々しいくらい分かるから普通に喋れ。」 「...ごめん。」 俺の弟、浅黒勝平(12)は、同学年らしい美化委員の女の子に一目惚れしたという。 学校のジャージに着替えて、学校の周辺のゴミをせっせと拾う姿がいじらしく思えたんだそうだ。 本人曰く、「挨拶はできる」らしいのだが、そこは俺の弟である。 おそらく爽やかなおはようの代わりに「フヒヒwアッシャァスwwww」なる意味不明な、聞くに耐えない音声が漏れ出ているだけにちがいない。俺ならそうなる。 そして、このままノーヒントで攻略してると、中学時代の俺のように「デュフフコポォ、オレヒョフヒヒヒヒヒwwww(好きです。俺と付き合って下さい。)」とか言って、デッドエンドを迎えることになるに違いない。 「もうアタックしたら行けるかな?」 「ああ、そうだな。とりあえずタンスの角に小指ぶつけてくたばってろ。」 「なんかよくわかんねーけどひでぇ! うまく行きっこないとか思ってるだろ!」 「あったりめぇだ。挨拶してるくらいで浮かれてんじゃねーよ。リアルの女の子は、クリック連打でデレてくれるほど甘くは無いんだよ。」 あ、この例えはお子ちゃまな勝平ちゃんには早かったかな? 「クリックして、ドラッグして、敏感なところをいじくり倒すんだろ?知ってるよ!金髪のツインテール幼なじみ限定だけどな!」 え!なんでこいつ俺のギャルゲのレパートリーがキンパツツインテ幼なじみ物しかない事知ってるの!?
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