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「はい、良太さん。あ~~~~ん」
都成がお弁当に入っていた卵焼きを一つつまみ、俺の口へ運ぶ。
「な、なぁ……都成……」
「奏でいいですよ~、良太さん」
少し照れたように笑う都成、その笑顔は確かに可愛いが……
「い、いや……呼び捨てはやっぱり――」
ただでさえこの「あ~~~ん」攻撃で教室の視線を独占してるんだ……この上俺が名前を呼び捨てにしようものなら、明日からもう俺たちは「そういうもの」として見られるだろう。
「そ、そこをなんとか……お願いします!」
両手を合わせ少し涙目で上目遣い。
ああ、もう!!
「分かった! 分かったから俺に対してお願いしますなんて言わないでくれ奏!!」
「きゃ~~~名前で呼ばれちゃいました!!」
「はぁ……」
どうしてこうなってしまったんだろう、少なくとも今日の朝まではいつもの日常だったはずなのに……
反省すべき点を見つける為、俺はあの奏の「ついていきます」発言から後の事を思い出す。
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