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「奏、あのな――」
「はい、良太さんまだまだありますよ~」
差し出された卵焼きを無下にすることは出来ず、口元に運ばれたつい食べてしまう。
なるべく早く食べ終わり話そうとするが。
「……っ、奏、いいか――」
「次はウインナーで~す」
「奏――」
「ご飯もどうぞ」
「そ――」
「おやつにリンゴもあります」
結局俺が話し始めたのは全部食べてしまった後だ。
「奏、あのな俺もガキじゃないんだから自分で食べれる。今後はこういったことは大丈夫だ」
「っ!?」
ショックを隠しきれず箸を落とす。
「そんな……良太さんにあ~~~んが出来ないなんて……」
「だ、駄目だぞ!! そんな悲しそうな顔してもこればっかりは駄目だ!!」
弁当全て「あ~~~ん」で食べさせてもらったのをクラスメイトに目撃されてる時点でもうアウトな気がするが、とりあえずこんなの恥ずかしすぎる!
「分かりました……良太さんがそこまで言うなら諦めます」
なんだ、こっちがちゃんと言えば分かってくれるんだな。
渋々納得してくれた奏に少し感心した。
しゅんとして肩を落としている奏の代わりに落とした箸を拾おうと手を伸ばすとそこに影が落ちてくる。
「なぁ、良太」
顔を上げると結局数学が分からず数学担当に叱られた晋平が俺と奏を交互に見ながら立っていた。
ま、まずい……
思った時にはもう遅かった。
「お前とそこの子はどういう関係なんだ?」
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