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「おはよう、父さん」
目覚ましのセット通りに起床、現在午前6時。
朝目覚めて直ぐに居間へ向かう。
そこには親父こと一善 良平(いちぜん りょうへい)が、朝食の並べられた丸テーブルに向って座っていた。
「ああ、おはよう良太。日曜日だってのにいつも通りの起床時間で感心だな」
それは仕事が休みの親父にも言えることだ。
俺が生まれてこのかた17年間この時間に起きていない親父は見たことがない。
「それを言うなら親父もだろ」
言いながらテーブルを間に挟むように親父の対面に座る。
「あっはっはっは! 早朝から息子に褒められるとは!!」
親父の笑い声は豪快で聞いているこっちまでもが幸せになれる。
俺が人に親切にしようと思ったのも親父の存在が大きい。
朝食が出来ているってことは当然――
「あ、お兄ちゃん。おはよう」
「おはよう、良子(りょうこ)」
妹の良子が台所からちょこっと顔を出す。
母が他界して5年、今やこうして我が家の台所を守る程に成長した姿は頼もしさすら感じる。
俺や親父が作るとどうしてもご飯とみそ汁のみになってしまうからなぁ……
「直ぐにお兄ちゃんのも用意するから」と伝え再び台所に消える妹を見送りながら大人しく朝食を待つことにした。
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