11人が本棚に入れています
本棚に追加
あれってテント……だよな?
昨日まで――いや、夕方にもあんなものなかったはずだ。
そして今日は4月にしては少し肌寒い日であった。
テントじゃ寒いよな、風邪引くかも。
うちには客室があるし親父に言ったらきっと納得してくれるだろう。
そうと決まればさっそく行動だ。
俺は直ぐに家を出ると公園に向かった。
「…………」
異変に気付いたのはテントの前3メートル辺りだった。
何か変じゃないか、これ。
まず明りがない。
これは単に中の人が眠ろうとしているなら分かるが何か違和感を覚えた。
そして熱気
テントに近づくごとに熱気を感じる。
俺は気付かないうちに固唾を飲んでいた。
い、いや何見守ってんだ俺。違うだろそんなことをしに来たんじゃないだろ。
原因不明な緊張感に身体をこわばらせながらもテントに近づく。
「あの~すいません」
「……」
返事がない。
寝てるんだろう。
そう思うのが普通なのにそうは思えなかった。
後から振り返ると何故俺はそんなことをしたのか分からない。
だけど気付けば俺はテントの入り口のファスナーに手をかけていた。
そして――
「っ!?」
少しそっと開いて思わず絶句した。
テントの中には練炭とそこからなるべく離れるような位置で倒れる1人の女の子。
練炭自殺
昔ニュースとかで見たことがある、練炭の不完全燃焼により一酸化炭素を作り出し自殺する方法。
俺はその瞬間女の子をテントから引っ張り出した。
最初のコメントを投稿しよう!