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彼は気が付くと固い床の上に寝ていた。
「あれ? 何で俺はこんなところで寝ているんだ?」
耳に届いてくるのは何かの警報音。顔を上げると二人の少女が自分を見下ろしていた。凶暴そうな少女と涼し気な少女だ。
「よう、目が覚めたか? カズマ」
「カズマ、それが俺の名前か・・・」
「記憶は思い出せましたか?」
「記憶? うっ、何も思い出せない。俺は何でこんなところにいるんだ。うわあ!」
辺りが揺れている。この場所は何かの襲撃を受けているようだ。
「ちんたらしてる暇はねえか。今度は強めに行くか」
「やむを得ません。状況が状況です」
「え? なに? なに?」
カズマの体は恐そうな少女に持ち上げられる。見た目に似合わず力持ちだ。そのまま頭から床に叩き付けられた。
「ぐへあああっ!」
「どうだ? 今度こそ思い出せただろう」
「早く起きてください、カズマさん。時間がありません」
「はっ!」
カズマは気が付いて顔を上げた。
「ランさん! ヒエバナさん! 俺はどうしてここに」
「記憶を取り戻したんだな!」
「良かった。まだ思い出せないようなら耳の穴から銃口をねじこむところでした」
「止めてください、ヒエバナさん。ところで俺は誰でしたっけ」
「「・・・・・・」」
沈黙する二人。やがて怒気とともにランの腕が伸びてきた。
「脳に衝撃を与えれば何とかなると思ったんだがな。お前はもうこっちへ来い!!」
「うわあ、どこへ連れていくんですかあ!」
首根っこを掴まれて引きずられていくカズマ。ヒエバナはその目的地を察した。
「まさか、あれを使うつもりなんですか?」
「もうあれしかないだろう」
「でも、あれには司令官の許可が必要ですよ」
「ここではわたしが司令官だ」
「仕方ありませんね。カズマさん、頑張ってください」
「なに? 俺は何を頑張ればいいの? うわああ!」
ロボットの操縦席に放り込まれるカズマ。ランは邪悪な笑みを浮かべた。
「なに、このロボットには面白いシステムがあってな。ここのコンピュータには操縦士の記憶が保存されているんだ。お前にはこれからその情報を強制的にインストールしてやる。この呆けた脳みそに直接にな」
「え? それって何かやばくないっすか?」
「やばいので普段なら複雑な手続きが必要なのです。でも、今は状況が状況なので」
「状況に流されるのはよくないと思いますよ! ヒエバナさん!」
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