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「あらあら、さっきからオバサンって一体誰のことかしらね。このお口かなぁ、悪いお口は」
バタバタバタと、幼女美月はちょっと涙目で手足をばたつかせる。
先輩の目に光が点っていない。
まるで悪の手先として操られているみたいな感でだ。
「というか鬼って、鬼ごっこかしらー? だったらお!姉!さんの勝ちねー。さぁてここで質問です。捕らえられた哀れな子羊さんはこの後どうなってしまうのでしょーか」
「(バタバタバタバタ)」
「はい、時間切れ。正解はぁ──お尻100叩きの刑でーす。うふ、うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
笑ってるけど全然笑ってねー!
そして幼女美月は、本当の鬼をみたような目で泣きべそだ!
流石にこれ以上は幼女美月が可哀想なので、先輩を説得することにした。
「す、涼子先輩……もうそれくらいにしてあげてください」
俺の声に振り向く先輩。
その瞳には、うっすらと涙が浮かび上がっていた。
「私だって……ちょっとは傷つくのよ」
先輩はそう言うと、観念したように幼女美月を床へと降ろす。
青白い顔でガクガクと身震いさせる幼女美月。
相当怖かったのだろう。まぁ少しお灸を据える意味では良かったのかな。
それよりも泣き顔の先輩は、かなりの破壊力があった。
大抵の男ならば、あの顔をするだけで落とせてしまえるかもしれない。
実際、俺も心を奪われそうだったからな。
「涼子先輩。先輩はオバサンじゃないですから気にしないでください。先輩は可愛らしいですよ」
「ん……ありがとう、蒼介君」
先輩は少し安心したように笑った。
ともあれ。
先輩のお陰でお転婆娘を捕らえることに成功したわけだが。
「ところで、この子は一体誰なのかしら?」
「あっ、はい。それについては、生徒会室で説明しようと思います」
しっかり逃がさないように幼女美月の手を繋ぎ、俺と先輩とゆかりは生徒会室へと向かった。
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