188人が本棚に入れています
本棚に追加
***
何はともあれ統括生徒会室に到着した俺たち。
涼子先輩の洗礼を受けた幼女美月は、あれだけ童貞童貞とバカにしていた俺の手をしっかりと握っている。
さっきの体験が余程、怖かったらしい。
先輩が振り向くと俺の陰に隠れたりしていたし、幼女とは言ってもこんな美月を見るのは初めてだ。
生徒会室を扉を締め切り、全員椅子に着席する。
そこには、幼女美月・俺・涼子先輩・ゆかりの四人がいた。
少しの沈黙が流れた後、涼先輩がそれを断ち切るように切り出す。
「それで。もう話してくれてもいいのじゃないかしら。貴方の膝上にちょこんと座っている金髪の女の子のことを」
やはり誤魔化すのは無理か。
特に相手は、涼子先輩だ。俺の陳腐な嘘などすぐ見抜かれてしまうに違いない。
俺は観念して幼女美月を隣の椅子に座らせ、ハァと息を一つ漏らしてから二人に語った。
「この女の子は──小さくなった美月です」
「!?」
驚愕の表情を見せたのは、ゆかりだけだった。
涼子先輩は、案の定と言ったような顔付きになる。
「やっぱりね。そんなところじゃないかと思ったわ」
「やっぱりって、涼子先輩……気が付いていたんですか?」
「なんとなくね。確証はなかったけれど、勘ってやつかしら」
流石は先輩だ。
やはりすべてお見通しというわけらしい。
「ちょっ……! まっ、待ってください! その女の子は、本当に美月ちゃんなんですか!?」
立ち上がって、動揺を隠せない様子のゆかり。
気持ちはわかる。俺も未だに目の前の状況に困惑しているのだから。
「ああ。間違いなく──こいつは美月本人だよ」
「……そ、そんな」
ストン。
ゆかりは思い切り目を開いて、力なく椅子に腰を落とした。
最初のコメントを投稿しよう!