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「……確かに。だとしたら」
俺は袴田先輩を見つめる。
却下。
即答だった。
というか、今回の元凶であるこのマッドサイエンティストに美月を預けたら 、さらなる人体実験に利用されそうで怖い。
「涼子先輩は……どうですか?」
頼みの綱の先輩に告げる俺。
「私? 別に構わないわよ」
「マジですか!?」
「ええ」
「じゃ、じゃあお願いしま──」
「ただし」
と、先輩は一言加えて、
「数日後には、美月ちゃんが美月ちゃんで無くなってるかもしれないけれどね。うふふふふふふ」
なっ、何をする気だ、この人。
涼子先輩の瞳がキラリ光った。とてもじゃないがこの人にも預けられる気がしない……。
「……はぁ」
俺はふかーく、おーきくため息を一つ溢す。
いや、まぁ、そのさ。最初から分かってはいたけどね。
でも、やっぱり実際現実に直面すると、すごーく不安というか何と言うか。
「蒼介君、任せたわね」
にこやかな笑みを浮かべて、涼子先輩はさらりと言った。
「……わ、わかりました」
反論すらできない眼光。男ってのは、いつの時代も不憫である。
男女平等とは、一体全体何なのだろうか……。
「でも、本当にいいんですか? 仕方ないとは言え、俺の家……かなりボロいし……。それに美月の家には何て話せば……」
「美月ちゃんの家には、生徒会のメンバーで勉強合宿でもすると言えば問題ないわ。それに案外、本人は嬉しがるかもしれないわよ」
「……俺には、到底そうには……」
「仕方ないわね。じゃあゆかりちゃんに一緒に泊まってもらったらどうかしら? 幸い、明日は休日だしゆっくりお泊まりを楽しめばいいわ」
「ふぇっ!? わわわ、わたしも桐生君の家に泊まるのですか!?」
「あら、不満?」
「……ふ、不満では、ないですけど……」
みるみるゆかりの顔色が赤く染まっていく。
ゆゆゆ、ゆかりも泊まる!? って、ままま、マジかよ……。
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